東京新聞 夕刊 平成20年2月6日

これぞロックの美学

BOOWYのお宝DVD発売
 
 日本のロックに革命を起こし、人気絶頂期に解散した伝説のバンド、BOOWY。ファンには感涙ものの"お宝"が登場した。彼らの真骨頂であるライブでの名演を集めたDVD八枚組み「"GIGS"BOX」。すべての瞬間にロックの美学が焼き付いている。
「あらためて見ると、すごい。よくこんな映像、残ってたよな。こんな演奏できたよな。おれ白身が驚いている」とドラマーだった元メンバーの高橋まことが振り返る。
 DVDは一九八四-八七年の演奏を収録し、多くは初のDVD化。特に東京のライブハウス、新宿LOFTでの生々しい演奏シーン(八四年三月)は貴重だ。客を怒鳴りつけながら、熱い歌を聴かせる氷室京介や斬新なギターの布袋寅泰。若いエネルギーが映像を通して伝わってくる。
 BOOWYの魅力は「メンバー四人の絶妙なバランス」と高橋は分析。「めちゃくちゃかっこいいボーカルと動きのいいギターの花形二人がいる。おれとべースの松井常松は黙々とリズムをキープして"動かぬかっこよさ"を見せつけた」
八五年の赤坂ラフォーレミュージアムや八六年の新宿都有地…。伝説的な名演を残しながら、バンドは急成長を遂げる。豪雨に見舞われた野外ライブでの映像もある。 「でも、条件が悪くなればなるほど、燃えるんだよ」。その言葉もうなずけるカの入った演奏だ。
 だが、人気絶頂のころ、すでにバンドは解散を決めていた。DVDに収録された八七年七-八月の神戸、横浜でのライブでは、解散を明かせず、緊張感を保ったままメンバーがプレーする様子が分かる。「特にヒムロック(氷室)がつらそうだった。来年はないわけだから『ステージで、また会おうぜ、とは言えないもんなあ』と寂しそうに言ってたよ」。このライブは「"GIGS"CASE OF BOOWY COMPLETE」のタイトルでCDとして同時発売された。
八七年十二月の解散宣言を前に、完ぺきな演奏で挑む彼ら。高橋は「おれたちのころは、気合でバンドをやっていた。今の若い人たちは、ぬるいな」とバッサリ。最後まで攻め続け、鮮やかに散ったバンドがここにある。

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