TSUGARU 4

― 未来へ ―

未来への憧憬が、4人の若獅子を旅立たせる
新田昌弘×浅野 祥×小山 豊×柴田雅人

2006年8月26日、東京・サンパール荒川にて超満員の観客を熱狂させたコンサート『東京バトルU』のライブ録音CD。
輝ける未来の可能性を煌かせた新世代津軽三味線プレーヤーと、それぞれのユニットが紡ぎだす、最高の津軽三味線パフォーマンス。
各奏者を中心としたユニットによる競演、一人ずつの曲弾き対決、そして最後は四人の息もつかせぬ津軽三味線バトルへと展開します。

1. 時雨 (Soothe)
2. ともだちのとり (Masahiro Nitta & Dean Magraw)
3. Hard Wired (B−bloods)
4. IMPACT (閃雷MAX)
5. 独奏 (浅野祥)
6. 独奏 (小山豊)
7. 独奏 (柴田雅人)
8. 独奏 (新田昌弘)
9. 東京バトル ─ 奏 ─ (新田昌弘×浅野祥×小山豊×柴田雅人)


新田 昌弘
Masahiro Nitta
浅野 祥
Sho Asano
小山 豊
Yutaka Oyama
柴田 雅人
Masato Shibata

1984年生まれ。14歳で弘絃流家元、新田弘志氏に師事し津軽三味線を始める。2001年NHK-BS「ジャパネスクな男たち」にて市川染五郎、千住博、渡辺香津美と共演。02年津軽三味線コンクール優勝。04年東南アジアツアー、05年ペンシルバニア大学主催アメリカツアーを行う。(公式サイト

1990年生まれ。祖父の影響で民謡に興味を持ち、5歳で津軽三味線を始め、8歳より小田島徳旺氏に師事する。弘前の津軽三味線全国大会各級優勝の最年少記録を打ちだし、04年、史上最年少14 歳で一般A 級の部で優勝。続いて05、06年と驚異の3連覇を達成する。(公式サイト

1981年生まれ。幼少より、祖父小山貢翁より津軽三味線の指導を受ける。2001年、02年、日本民謡協会主催、津軽三味線コンクールにて優秀賞を連続受賞。現在、東京のライブハウスを常に超満員にする“Soothe”(スーズ)によるライブ活動など、様々なジャンルにて活躍中。(公式サイト

1985年生まれ。9歳の時、父の影響で民謡を習い始め、2001年より冨塚孝氏に津軽三味線を師事する。03年、日比谷、大阪、04年、神戸、06年金木の津軽三味線大会最高部門、2007年津軽三味線全国大会(弘前)A級優勝。新たな音楽表現をめざすユニット『閃雷』に所属。(公式サイト

■新田昌弘&DeanMagraw
新田昌弘(三味線)
Dean Magraw(ギター)
■B-bloods
浅野 祥(津軽三味線)
長門 暁(エレクトーン)   き乃はち(尺八) 
大塚宝(和太鼓)   
■Soothe
小山 豊(津軽三味線)
丸山力巨(ギター)
松田翔(ドラム)
前田貴廣(ベース)
加藤拓哉(和太鼓)
■閃雷MAX
柴田雅人、柴田佑梨、柴田愛(以上津軽三味線)、三浦公規(組太鼓)、千坂栄介(大太鼓)、石田陽祐(桶太鼓)、千葉響(桶太鼓)

長門暁&浅野祥“B-bloods”津軽三味線のイベントで大活躍!

 東北の高校生2人によるユニットB-bloods(ビー・ブラッズ)。エレクトーンの長門暁くん(17)と津軽三味線の全国3連覇チャンピオン・浅野祥くん(16)という2人の「B型」による実力派ユニットだ。そんな2人が、津軽三味線の若手スター競漬による一大イベント「東京バトルU」に出演した。息もピッタリの2人のステージをレポートしよう。

暁&祥が燃えた!「東京バトルU」

 「二人とも血液型がB型だから!」と意気投合して結成以来、”B−bloods”として大きなステージに立つのも、もう3回目だ。いままではエレクトーンのイベントに津軽三味線の浅野祥くんがゲスト参加する形で共演してきた二人だが、今回は逆パターン。津軽三味線の若手人気奏者4人(小山豊、柴田雅人、新田昌弘、そして浅野祥)が競演する一大イベント「東京バトルU」に、長門暁くんがゲストで招かれた形での共演となった。

 プログラム第1部は、4人の奏者がそれぞれのバンドを率いて登場。B−bloodsは3バンド目だ。まず津軽三味線とエレクトーンで、初舞台のTEJ仙台でも演奏した思い出の曲、デイヴ・ウェッケルの「Hard Wired」を演奏。エレクトリック三味線を使い、まるでエレキギターの速弾きのように巧みにソロを演奏する浅野くん、1台の楽器から出ているとは思えない迫力のサウンドと鮮やかな足さばきでエレクトーンの魅力をアピールする長門くん。二人の息もつかせぬスリリングな演奏に、津軽三味線ファンの聴衆も興味津々で聴き入る。

 2曲目からは き乃はち(尺八)、大塚宝(和太鼓)も加わリ、民謡「秋田荷方節」と長門くんのオリジナル曲「宵」を演奏。和風のメロディーにHipHopの要素も取り入れた「宵」は、尺八、和太鼓という生楽器との共演で、さらにサウンドに広がりを生み面白みを増したようで、二人の演奏にも熱が入る。この高校生二人のフレッシュな演奏に、会場からは惜しみない大きな拍手が送られた。

 第1部のラストは、出演バンドがステージに全員集合しての一大セッション。長門くんもエレクトーンで参加して、ハジけまくった。

 伝統和楽器の代表である津軽三味線と、最新テクノロジーの粋を集めたエレクトーン。真逆に見えるこの二つが、ティーンの二人によって見事に融合した一夜だった。

『月刊エレクトーン』2007年1月号より

津軽三味線『東京バトルU』
若さあふれる舞台で観客魅了

 津軽三味線の若手4人の演奏家によるスーパーパフォーマンス「東京バトルU」(三味線かとう、荒川区地域振興公社主催)が8月26日、東京・荒川区のサンパール荒川で開かれた。

 出演は、全国大会一般A級最年少優勝と3連覇の記録をもつ16歳の浅野祥から最年長の小山豊が25歳という、若手バリバリの実力派4人。若さあふれる舞台と鍛えぬかれたテクニックを披露し、広い会場を埋め尽くしたファンを熱狂させた。

 第1部はそれぞれのユニットによるオリジナル曲の演奏。小山豊の「Soothe」が「草原」など3曲を披露。和太鼓とドラムに小山の太棹の響が絡む。続いて新田昌弘とクラシックギターのディーン・マグローのデュエット。リズミカルでノリのよい「ともだちのとり」、スローバラードで「母の子守唄」など3曲で観客を楽しませる。

 3番目に登場の「B-bloods」はエレクトーンに応援の尺八と和太鼓が加わり、浅野祥が高校生とは思えないテクニックと力強い撥さばきを披露し会場を沸かせた。締めくくりは東北仙台を中心に活躍する「閃雷MAX」。柴田雅人を中心とした津軽三味線と3種類の和太鼓のセッションでダイナミックな舞台を演出、客席から湧き起こった大きな手拍子で会場は最高の盛り上がりを見せた。

 第2部は各人のソロ演奏。浅野、小山、柴田、新田の順でそれぞれが鍛えぬかれた撥捌きを独奏で披露。最後に今公演の目玉「津軽三味線バトル」で4人がテクニックを競い合う。各大会優勝、優秀賞獲得の実力に裏打ちされた4人の豪華競演に会場の興奮は最高潮に達した。

『みんよう文化』2006年10月号より

津軽三味線の競演 東京バトルU開催

 伝統的な三味線はもとより、近年はエレクトリック三味線『夢絃』の製造発売元として知られる三味線かとう(加藤金治社長)では、一九八九年の開業当初から三味線とその音楽の普及啓蒙を目指して、ミニコンサートを企画開催する『ちとしゃん亭』を主宰。第一線で活躍する演奏家を招いて店先で無料ライブを実施してきたが、それは既に三十回以上に及んでいる。

 更に本格的なホールを使ってのコンサートとしては、一九九〇年の日暮里サニーホールでの国本武春コンサートを機に、徐々に規模を拡大。それは一九九三年のちとしゃん亭特別企画の第一弾へと結び付いていく。これは津軽三味線全国大会のチャンピオンを招いてのコンサートで、以後毎回特色のある特別企画を実施して、三味線の演奏家はもちろん、一般の音楽ファンからも注目を集めている。そしてその第八弾として、『東京バトルU』が八月二十六日午後六時から、サンパール荒川大ホールで、三味線かとう、荒川区地域振興公社の主催、荒川区共催などで開催された。

 津軽三味線全国大会や津軽三味線コンクール等で優勝するなど将来を嘱望されている若き演奏家を招いたこのコンサートは、文字通り若いエネルギーが火花を散らすといった表現がピッタリの熱演が繰り広げられた。

 出演は新田昌弘、浅野祥、小山豊、柴田雅人の四氏。最年長でも小山豊さんの二十五歳、最年少は高校生の浅野祥さんと正にフレッシュな顔触れ。しかし若いと言っても、いずれも子どもの頃から修練してきた津軽三味線の強者。その演奏は聴衆を圧倒すると同時に魅了する。

 第一部のトップバッターは小山さん。ギター、ドラム、ベース、和太鼓という和洋のコラボレーション。次いで新田さんはアメリカ人アコースティックギタリストと共演、更に浅野さんはエレクトーン、尺八、和太鼓のユニット、柴田さんは二人の妹を加えた津軽三味線三人と組太鼓、大太鼓、桶太鼓二人という組み合わせ。それぞれ静と動、和と洋が際立っていて聴衆の耳目を離さない。

 会場は小学生の子供からシルバー世代まで幅広い年齢層で満席。しかし、それぞれの熱演ぶりに演奏中にも大きな拍手が起こり、演奏終了後には更に大きな拍手と、老若男女がこぞって彼らの音楽を満喫した。

 会場には上妻宏光、国本武春、木乃下真市、そして和太鼓のヒダノ修一など、既に第一線で活躍する演奏家が客席で応援。新進気鋭の出演者達にとっては大きな励みになったに違いない。(澤野)

『ミュージックトレード』2006年10月号より