『東京新聞夕刊』 2010年2月6日発行 でChito-Shanが紹介されました。

住宅街に三味線ライブハウス
小空間にふくらむ希望

 都内で唯一の三味線ライブハウス「Chito-Shan」(荒川区東尾久、加藤金治代表)がオープンして半年
たった。
 初の試みで「いつまでもつか」と危ぶむ向きも多かったが、まずは順調な滑り出しのようだ。(富沢慶秀)

 都電荒川線に沿って熊野前駅と東尾久三丁目のほぼ中間。隅田川に近い住宅街の一角で、芸能とは
あまり関係ない場所にある。
 「小劇場の中心地、シモキタ(世田谷区・下北沢)や都心の繁華街とは縁遠い。しかし、本当に三味線の好きな人がわざわざここまで来てくれるのが値打ち」(加藤さん)という心意気だ。
 昨年六月六日にオープン。「こけら落としに三味線界のビッグネームの木乃下真市、本条秀太郎さんが出演、満員のお客さまとともに大海に船出した」(同)
 新しい年は、新春歌姫シリーズと題して、俗曲師の「うめ吉」(一月九日)に続いて、今月十四日午後五時から「木津茂理」で、共演に中国箏・姜小青。民謡一家に育ち、太鼓を打ちながら唄い、世界を飛び回る歌姫だ。三月十三日は津軽民謡の「福士あきみ」を予定。
 もともと三味線製作の職人だった加藤さん。若いころ十数年、新劇の舞台にも立ち、第二十回(一九八五年)紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞した岡安伸治作・演出、世仁下乃一座「太平洋ベルトライン」で準主役。
 現在地の一階で「三味線かとう」を二十年。三味線普及のため、年二回、店を開放した無料のライブ「ちとしゃん亭」が地域に根付いた。また毎年のように東京・日暮里サニーホールなどを借りて記念公演も開いた。
 木乃下、本条などのほか国本武春、林英哲、上妻宏光などが出演。東南アジアからわざわざ訪れるファンもいたという。
 昨年、二、三階に住んでいた大家さんが引っ越し、三階建てをそっくり譲り受けて、二階を「Chito-Shan」、三階をその楽屋にした。
 全体で四十五平方メートルの細長いフロア。基本舞台は約四・五メートル×一・八メートル、客席八十。
狭い空間だが、三味線の明日への希望をいっぱい膨らませたライブハウスだ。