店主日誌
2011年3月〜10月

3/23(水)

  3月11日は東北地方太平洋沖大震災。その後、目が覚めてのテレビニュースから始まり、夜、夜中のニュースで睡眠に入る。仕事の最中も心ここにあらず。地震、津波、そして原発事故。計画停電、ガソリン、燃料の供給不足。畑、水道水、海からの放射能物質の検出。現在進行形の状況が刻々メディアを通して知らされ、被災現場からの報告に言葉を失う。 3月11日は同時に三味線かとうの23回目の開店記念日でもあった。

4/17(日)

 満開の桜の花びらが甘い春風に乗って気持ちよさそうに舞っている。クリーム色が主体だった都電も黄色、オレンジ、ピンク、紫と今までになくカラフルに春めいて生き生きと線路を滑るように走ってゆく。

 昨日は津軽三味線の『佐藤通弘ライブ』だった。副題は『三味線鬼とその息子』ということで息子の通芳君とのデュオ。小さな通芳君を連れて都電に乗ってお店に来てくれたのはもう20年近く前になる。今はすっかりたくましくなった息子と程良く柔らかくなった三味線親鬼との撥の叩き合いは親と子を生きる闘いの日々からにじみ出た蜜のひと粒。

10/15(土)

  10月13日から国技館で日本民謡協会主催、14日から武道館で郷土民謡協会の全国大会がそれぞれ始まった。国技館には倉橋勝が、武道館には山口真明が代表で出店している。今日は土曜日なので人出が多くなる見込みで昼から「おかみ」も応援に。

10/17(月)

 昨日は国技館の最終日、出店の手伝いに行ってきた。一年ぶりに会う同業者の方やお馴染みのお客さまたちにご挨拶。

 隣のブースに根付けを売る面白い人に会った。つげの彫物や金メッキの打ちでの小づちを販売しているのだが、まだ若いのに縁起の口上を実になめらかに唱えながら販売していた。その口上に笑わせられながら女性のお客さまたちに飛ぶように売れていく。私はその見事さにしばし見とれてしまった。同業者ではないのでいつ会えるかわからないし、名刺を交換して再会を約束した。