店主日誌
2010年1月

1/1(金)

 北千住駅から新しく開通した小田急ロマンスカーに乗り箱根へ。その晩、翌日の箱根駅伝の特集があり、初めて東洋大学の柏原選手と言う怪物の存在を知り明日のその走る姿を一目見たいと期待する。

1/2(土)

 湯本駅近くで駅伝、東洋大柏原が早稲田を抜いて山に入っていく瞬間を見た。オーラが目の前をスローモーションで駆け抜けた。

1/3(日)

 家族新年会があり新年が始まった。NHK新大河ドラマ『竜馬伝』を見る。冒頭のシーンから惹きつけられた。歌も演技も見たことのない福山雅治を初めて見たけれどなかなかいいね。

1/4(月)

 一日中、テレビ漬け。NHKの朝の番組で福山雅治『竜馬伝を語る』、爆笑問題『ドフトエフスキーの愛』、BSで『マーロンブランドのすべて』を2時間40分、エリア・カザン、ベルナルド・ベルトルッチ、アーサー・ペン、マーチン・スコセッシ監督たちや、アル・パチーノ、ジェーン・フォンダ、デニス・ホッパー、ロバート・デュバル、ジョニー・デップなど錚々たる俳優たちがマーロンブランドのエピソードを語る。NHK『7サミット』世界7大陸の最高峰の単独・無酸素登頂に挑む若い登山家を描くドキュメンタリー75分。『村上龍のカンブリア宮殿』84分スペシャル「村上龍×小沢一郎」、NHK『プロフェッショナル』で真夏の池袋演芸場のトリを務める桂小三治の8日間。

1/5(火)

 テレビをこんなに長い時間見たのは何年ぶりか、お正月特番ということもあるがそれにしてもテレビは面白いな。ところがうちのテレビは丸15年見ている年代物、BSはまだマシだが地上波はもう二重、三重のブレブレ。よその家へ行くとその映像のきれいなことったらありゃしない。雪山とか映画とか夢のように違うんだよな。とこんなことを書きながら、今丁度『はなまるマーケット』ではゲストの吉田兄弟が威勢良く三味線を弾いている。体の揺れと映像のブレが何とも奇妙なグルーブ感。うーい、酔っぱらっちゃったよ〜。 

1/21(木)

  1月13日、山口真明は1年かけてその精度に磨きをかけ、前日ギリギリまでに完成させた『自動採譜用エレキ三味線第2号機』を持って本体の『自動採譜機』の待つ八戸工業大学へ行き、ドッキングテストをした。そして見事第2段階を突破した。第1段階の様子は丁度1年前の1月13日テレビ『トレたま』でオンエアされた。見た人は少ないし、まだ何が起こっているかを知る人は皆無に近い。三味線を弾いたらその通りにすぐに三線譜になってしまう。延々と耳コピをする必要も無くなる。製品にするにはまだ年月がかかるがその道の人たちには夢のような話に違いない。

1/23(土)

 年頭各方面への寒中見舞いに我がChito-Shanのことを『・・・様々な文化創造の交差点になることを目指します。』などと私らしくもなく殊勝なことを書いた。

 午後、長い間仕事仲間で同志であり友人でもあるN氏来店。造詣の深い朝鮮民族と日本の生い立ちをさらりと語りながら、タイから帰ってきたばかりのジャスミンの花のお茶と猪のジャーキーをお土産に広げた。この人はこの業界ではこの40年の間、大変な変革をもたらせた人。その功績はあまりにも多大なのだが表舞台に出ることはなく、常に三味線屋の縁の下を支えていて業界で知らない人はいないが世間では徹底的に無名だ。

 熊本から明日の『上妻宏光生1丁』を見に来た女性のお客様来店。名物のからし蓮根をお土産に頂く。暫く熊本の様子など聞かせてくれる。

 お二人が帰ったすぐ後に、大分から女性の津軽三味線プレーヤーの鈴木利枝さん来店。テレビ大分のカメラマンとディレクターが鈴木さんへの追っかけ取材だ。三味線かとうとのお付き合いは? 鈴木さんはどんなプレーヤー? 矢継ぎ早に来る質問を軽々と受け答え、いきなり「ボク、城島高原にいたことあるんですよ」と鈴木さんとは直接関係ないことを言ったら、「えっ、えー?!」と3人は物凄くびっくりして「な、なぜ城島高原に?」と振られたところから、もう取材を忘れて最後まで冗談ポイの連続。

 昔、ワタシが旅をして大分の城島高原牧場でアルバイトで住み込んで働いている時、すでにそこで働いていて未だに付き合っている別府の古い友人Aに、鈴木さんが最近それとは知らずちょっとした縁で初めて会ったそうだ。暫く話した後そのAが鈴木さんに聞いた。「ところで東京の三味線屋でかとうって知っている?」「えっ、えー? かとうさん、知っていますよぉ!」「えっ、えー? それ僕の友達・・・」 

 その城島高原にいる時、彼から聞いて湯布院の混浴風呂へ決死の覚悟で入ったことなど次から次に笑ってばかりだった。取材の間、急ぎの仕事だったこともあって少しも仕事の手を休めなかった。気がついたらいつの間にか仕事が随分片づいていて、鈴木さんのお土産、博多やまやの明太子が目の前に。

 そしてひと間置いて今度は八戸工業大学の小坂谷寿一教授来店。大事な用事の手続きを終えたあと、「先生、新幹線の時間までどの位ありますか?」後15分も無いというのを先生の大好きなお酒で皆で自動採譜機のテスト成功を祝って乾杯! つまみはタイみやげ猪のジャーキー、熊本名物からし蓮根、博多やまやの明太子。・・・うまい!先生が名残惜しそうにお帰りになるのを見送った後、まだ閉店には早いけれど早々に店のシャッターを下ろして、スタッフ一同2度目の乾杯をしてゆっくり美味しい時間を過ごしたことは言うまでもなく・・・。

 

 ・・・様々な文化創造には程遠いがまさしく様々な人がたの交差点ではある。 ちょ〜ん!