店主日誌
2007年1月

1/21(日)

 昨日はもちろん営業していたが午後から、本條秀太郎先生の著書『三味線語り』の記念演奏とサイン会があり、東京駅の八重洲ブックセンターへ行った。その後、電車を乗り継いで亀戸のカメリアホールへ国本武春のワークショップの卒業演奏とコンサートを見に行った。大熱演の国本氏に挨拶もする間もなく次の目的地の駒沢大学駅に向う。

 駒沢大学駅で柴田君と待ち合わせの時間に遅れたが、「戦友」MとIとずいぶん久しぶりに飲む。現在、過去、未来を行ったり来たりテツガクしてご機嫌サイコー。このままたいていはどこかでつぶれて帰れなくなるのだが明日の「戦地」に赴く為みな自制して、終電ぎりぎりに間に合いそれぞれ帰宅。

 そして今朝、『不良少年の夢』というアブない映画を見る。冒頭で『文部科学省選定』とあって、オイ、オイそんなはずはなかろうもんと見ているうちに最後でなるほどと思った、ちゃんちゃん。

1/20(土)

 DVDで『NORTH COUNTRY』のシャーリーズ・セロン主演、『モンスター』を見た。2003年度のアカデミー主演女優賞をとった作品だというのだが・・・嘘でしょ。

 続いて『力道山』を見る。主演のソル・ギョングをはじめて見たのは、『ペパーミント・キャンディ』という何ともやりきれない映画で、韓国には凄い俳優がいるものだと強く印象に残っていた。ちょっと大杉漣に似ているこの魅力的な俳優が演じる力道山は、常に内面にある切なさを湛えて生きている。

 予告編に、「日本人がいちばん力道山を知らない」とあるが、まさしくあの昭和30年代初頭、街頭テレビに釘付けになって、戦後日本人が「日本人のヒーロー」と快哉を叫んだ力道山像とは余りにもかけ離れて、背景の闇の部分をあぶりだす。しかしソル・ギョングの演技が力道山の内面を照らし出し厚みを加えて、その力道山の魅力を改めて思い出させた。

 うちのすぐ近くの狭い路地裏に近所の人たちに力道山の試合を見せるために、発売されたばかりの白黒14インチテレビを外に置いた家が、当時の木造一階建ての家のまま残っている。そこに当時小学校2年生の私も100人以上の大人たちに混ざって膝を抱えてテレビのまん前にいた。

 今でもその家の前を通るたびにいつも、力道山が、ボボ・ブラジル、キング・コングといった大男で猛獣のような外人レスラーたちを空手チョップで連打する姿を、そこに座って真っ直ぐな目で画面を見つめている自分を、振返る。

1/15(月)

 朝、火の気のない店内は温度が下がって空気が冷たいが、昼間はぽかぽかと春のようだ。世界中の暖冬の影響かと思うとあまり気持ちいいものではない。

 昨日は前夜の疲れもあって昼頃まで爆睡。午後から『NORTH COUNTRY』という映画をDVDで見た。ミネソタの炭鉱町で実際に起きたセクハラを題材にした物語。主演のシャーリーズ・セロンが美しい。その父親役と母親役の俳優がまた渋くていい。

 そのあとWOWOWで20時から24時45分まで『9/11への道(原題the path to 9/11)』前後編を一気に見た。全米のベストセラー「the 9.11 Commussion Report」(独立調査委員会の最終報告書)などを参照に作られたドキュメンタリータッチの長編ドラマ。事実とドラマすれすれのリアリティに最後まで惹きつけられた。

1/10(水)

 元旦はこたつでお雑煮やお刺身を食べて何することもなくごろごろと愛犬のヒリュウも横に寝て、私もご機嫌に酔いつぶれて、平和な2007年が始まった。

 2日は北海道の滝川に住んでいる親友を20年ぶりに訪ねて泊めてもらい、ひたすら飲み、なつかしい話やら、あれこれ尽きることなくしゃべり続けて酔いつぶれた。

 3日はその友人に送ってもらって札幌で一緒に新田弘志さんと新田昌弘さんの新年初ライブを見に行った。初めてお二人が一緒に演奏する姿を目の前で見た。仲の良さがほのぼのと伝わってくるホットなライブだった。

 その晩遅く、狸小路で友人家族と別れたあと、すすき野の交差点に立ち、ニッカの大看板のあるこの目立つビルを見上げた。1969年の冬、ワタクシはこのビルの最上階にあった「宇宙キャバレー月世界」というグランドキャバレーでアルバイトをしていたのだ。折りしもその年の7月20日は、アポロ11号が月に軟着陸して人類が初めて宇宙の地に第一歩を踏みしめた日だ。
http://jvsc.jst.go.jp/universe/luna/index.html 

  この時、私は日本の南、奄美大島の大衆食堂にいたが、深夜14インチの白黒テレビから同時通訳によって伝えられるその瞬間、瞬間の映像は私の人生にとって、最大にショックな事件だったのだ。

 狸小路に戻って小さなカプセルホテルに入り文字通りせまいカプセルにもぐりこみ、宇宙空間に夢を馳せながらワンカップ大関に心地良く、あっけなくつぶれた。 ちなみに2日に訪れた親友とは、アポロ着陸の翌年1970年の春、雪のまだ深い頃、札幌で出会った。その夢は果てることなく・・・・・。

 4日、5日はその足で福島の土湯温泉に行き、気持ちのよい温泉に何回も浸かり、美味しいお酒とご馳走に・・・・・。

 三味線かとうは、9日から今年の営業を開始したが、まだ休みの7日夕方、東京新聞の取材を受けた。そしてその記事が早くも今朝の朝刊に掲載された。 『解剖図鑑』というコーナーに『情熱』と題されていた。

 日本全国のお客様並びにアジア、南米、アメリカ、フランス、オーストラリア、アラスカなど世界中のお客様方、本年も一生懸命頑張りますのでよろしくお願い致します。