2000年2月5日 日本経済新聞「SHOP」より

三味線奏者 上妻宏光さん

三味線かとう
エレキ三味線に出合って新境地

 6歳の時、初めて聴いた津軽三味線の音が、心臓にバコンときたんです。それから今まで、津軽三味線の音にこだわってきました。

 三味線ロックバンドを作りたいと思ったのですが、通常の三味線では音量が足りず悩んでいた時、この店のエレクトリック三味線に出会いました。三味線独自のかすれや余韻を残しつつも、ずぶとい音が出るのに驚きました。音質を様々に変化させることも可能です。

 太鼓やエレキギター、ピアノ、他国の民族楽器との共演の幅もぐんと広がりました。今は普通の津軽三味線とエレキ三味線の両方で演奏活動をしています。

 さおの部分が削れて取り換えたり、皮を張り直したりなど、三味線は常に手入れが必要な楽器。月に一度は足を運び、調整してもらっています。

 新たな挑戦を続けるための精神的な支えとしても、僕の演奏活動になくてはならない、大切な店なのです。

(山)