雑誌 『 発明 』 2007年6月号 発行 社団法人発明協会 

Kana×Style
ライター 金澤紀子

 みなさんは、普段、楽器に触れる機会はありますか?さまざまな種類の楽器があるなかで、最近、日本の伝統楽器が見直されているそうです。調べていくと、ちょっと風変わりな三味線を発見。今回は、エレクトリック三味線『夢絃21』(通称:エレキ三味線)を開発した、東京都荒川区の三味線専門店『有限会社三味線かとう』の加藤金治さんにお話を伺ってきました!

 加藤さんがエレキ三味線を発案したのは今から18年前。
 「あるライブ八ウスでアコースティックギターとキーボードと三味線という3人編成のライブを観に行った時、三味線の音が他の楽器の音に負けてしまってキレイに聴こえてこなかったんです。三味線の音はマイクで拾いにくいという欠点があり、もっと三味線の音を聴かせることができれば、と思いました」
 エレキ三味線の製作に取り掛かった加藤さんは音を増幅させるため、試行錯誤を繰り返したとか。
 「簡単にはいきませんでしたね。それはもう何度も試して。ノイズが残りやすいので、中にアースをつけ、ノイズを消す工夫をしました」と、加藤さんは製作当時の苦労を語ってくれました。
 エレキ三味線を作るにあたり、こだわりはあったのでしょうか。
 「エレキでも三味線は三味線。あくまで純粋な三味線の音を追求しました。エレキアコースティック三味線といったところですね」

 苦労の末、見事完成したエレキ三味線。奏でられる伸びやかな音。大抵の人はそれがエレキだとは気づかないそうです。
 常に三味線の未来を見つめている加藤さん。最後に、三味線の将来について聞いてみました。
 「どんな三味線があってもいい。低音を一つ増やして四味線が出てきてもおもしろいですね。伝統を壊すのではなく、伝統を踏まえたうえで、これからも新しいことに挑戦していきたいです」

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金澤紀子、エレキ三味線にいざ、挑戦!
 実際に手に持ってみると、意外にズッシリとした重さにビックリ。最初は弦を押さえる指がつりそうになり、悪戦苦闘でした……。でも、エレキ三味線のチューニングを担当している山口さんの丁寧な指導のおかげで、『涙そうそう』が1フレーズ弾けるようになったときは感動しました!
 初心者でも1年ほどで弾けるようになるという三味線。エレキギターもいいけれど、エレキ三味線もおすすめです!